カレー考(2) 犯人は肉じゃなかった

カレー考

カレー高すぎ問題(2)

カレーが高くなった理由を考えると、真っ先に疑われるのは肉だ。
牛肉が高い。豚肉も上がった。鶏肉も以前ほど安くない。
「だからカレーが高くなったんでしょ?」
多くの人が、ここで思考を止める。

たしかに、肉は高くなっている。スーパーの売り場を見れば、その実感は強い。
だが前回見たように、カレー1食365円の内訳で、肉は主役ではなかった。
ではなぜ、私たちは肉を“犯人”だと思ってしまうのか。

肉は高い。でも主犯ではない

事実から整理する。
帝国データバンクの試算によると、家庭で作るカレー1食のうち、肉が占める割合はおよそ2割前後だ。
金額にすると70円程度。決して安くはないが、全体を左右するほどではない。

それでも肉が疑われやすいのは、単価が高く、目につきやすいからだ。
100gいくら、1パックいくら、という形で価格を意識させられる。
人は「高いもの=原因」と結びつけやすい。

「高い」と「効いている」は違う

ここで一度、視点を切り替える必要がある。
カレーは単品料理ではなく、合算料理だ。
肉、野菜、米、ルウ、光熱費。
それぞれは小さく見えても、積み重なる。

肉は高いが、量は調整できる。
少し減らす、ひき肉にする、種類を変える。
実際、多くの家庭がそうしてきた。

一方で、調整しにくいものがある。

本当に効いているのは、減らせない部分

カレー1食のコストで最も大きいのは、ごはんだ。
全体の約4割を占める。
米の価格が上がれば、そのまま逃げ場なく効いてくる。

さらに、にんじん・玉ねぎ・じゃがいもという定番野菜も外しにくい。
これらは「カレーらしさ」を支える最低限の構成要素だ。
減らすと、満足感が大きく下がる。

つまり、カレーが高くなった原因は
高いものではなく、減らせないものにあった。

肉は調整できるが、米は逃げられない

肉は主役のようでいて、実は可変要素だ。
量も種類も、家庭の判断で動かせる。
だからこそ、価格上昇の影響は吸収されやすい。

一方で、米は主食だ。
減らしにくい。代替しにくい。
しかもカレーとの相性が強く、「ごはん抜き」が成立しにくい。

肉を責めても、カレーは安くならない。
構造を見ない限り、対処を誤る。

家庭はすでに答えを出している

実はこの構造に、家庭はすでに気づいている。
Nadiaの調査を見ると、
キーマカレー、無水カレー、ひき肉+豆腐など、
「肉を主役から外す」工夫が広がっている。

これは節約というより、最適化だ。
肉を減らしても満足できる形を探す。
その分、味や食感、うま味で補う。

犯人探しをやめた結果、作り方が進化している。

カレーが高くなった原因を、肉だけに押しつけるのは簡単だ。
だがそれでは、何も変わらない。

本当に効いているのは、減らせない部分。
この視点を持つと、次に考えるべき対象が見えてくる。

次は、
カレー1食の約4割を占める“あの存在”について話そう。

次回予告

次回は、
カレーを苦しくしている最大要因は、実は主役ではなかった。
価格高騰が、家カレーに何をもたらしたのか。
“主食インフレ”の正体を見ていく。

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